業務概要
耐震補強箇所を軽減可能な耐震診断手法や、経済性に配慮した耐震対策を提案しています。
上下水道施設は、人々の生活には欠かせない重要な施設であることから、今後発生が想定されている「首都直下地震」や「南海トラフ地震」に対する十分な備えを行うことが求められています。
一方で、上下水道施設の耐震化の状況は、水道施設(令和3年度末)で、基幹的な水道管路が41.2%、浄水施設が39.2%、配水池が62.3%であり、下水道施設(令和3年度末)では、下水道管路が約55%、下水処理場等が約40%と、依然として低い状況にあります。
施設の耐震性を確保するためには、耐震設計が行われていない既存施設について、耐震診断による適切な耐震対策が必要となりますが、耐震補強量が膨大で、施設を運用しながらの施工や、予算的に補強が困難となっている施設が多く存在します。
私たちは、これまでに蓄積したノウハウを活用し、日々進化する技術を学び、耐震補強箇所を軽減可能な耐震診断手法や、経済性に配慮した耐震対策を提案しています。
実施事例
愛知県一宮建設事務所 日光川上流浄化センター
所在地 | 愛知県稲沢市 |
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発注者 | 愛知県 |
実施Data | 能力:52,500㎥/日 |
実施内容 | 日光川上流浄化センターは、平成12年に供用を開始した下水処理場です。 地下管廊の壁曲げ補強として「鉄筋コンクリート増打ち工法」と伸縮目地部に「あと施工可とう継手」を採用しました。 |
愛知県東三河建設事務所 豊川浄化センター
所在地 | 愛知県豊橋市 |
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発注者 | 愛知県 |
実施Data | 能力:100,000㎥/日 |
実施内容 | 豊川浄化センターは、昭和55年に供用を開始した下水処理場です。 管理本館の保有水平耐力を向上させると共に採光を確保するため、壁開口部に「鉄骨ブレース補強工法」を採用しました。 |
新潟県妙高市 新井浄化センター
所在地 | 新潟県妙高市 新井浄化センター |
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発注者 | 地方共同法人 日本下水道事業団 |
実施Data | 能力:10,600㎥/日 |
実施内容 | 新井浄化センターは、平成元年に供用を開始した下水処理場です。 管理棟の保有水平耐力を向上させるため、「既設窓および壁撤去・耐震壁新設」を採用しました。 |
耐震計算(非線形解析)
耐震計算は、地震力に対して構造物特性係数Cs(低減係数)を考慮することで構造物全体のじん性を擬似的に考慮する解析方法が一般的です。
ですが、この耐震計算方法では全ての部材に対して塑性ヒンジが発生することを前提として耐力照査を行うため、多くの部材で耐震補強が必要となり、耐震補強工事の実施を困難にしているのが実情です。
非線形解析では、構造物を構成する各部材ごとのじん性を直接的に求め、計算に反映することが出来るため、従来の解析方法ではわからなかった各部材の損傷過程を把握することができます。
非線形解析では、“曲げ耐力不足”と“せん断破壊モード”が解消されやすい傾向があり、耐震診断の結果、多くの部材がNGとなっている場合、非線形解析を行うで、補強箇所を減らすことができるケースがあります。
線形解析と非線形解析の違い