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10. 衝撃・振動・疲労

10.6 破壊に影響する寸法効果


10.6.1 内部欠陥説

 材料の強さは、材料表面、また、眼には見えない内部の欠陥があると下がるるだろうと言う仮説は、経験的な事実から支持されています。試験体を滑らかに仕上げると、そうでない場合よりも強度上がることが知られています。意図的に切り欠けを作ると、特に疲労強度が下がります。材料内部の欠陥がどのようなものであるかは良く分かりませんが、一つのモデルは、小さな穴と仮定することです。鋼材の引張り試験をして材料が塑性変形をすると、材料が結晶レベルで繊維状に並び替えが起こり、この穴の形が縦長に引き伸ばされ、相対的に幅の狭い楕円に縮まり、結果として強度が上がるのだ、とすると理屈に合います。圧縮試験では、穴による有効断面の減少効果は考えられません。脆性材料では、相似な試験体を使う強度試験に寸法効果が知られていて、寸法が小さい試験体を使う方が、相対的に強さが上がります。この説明には、寸法が大きい試験体の方が欠陥の数が多くなるためと考えると理屈に合います。これを統計的に説明したのが、ワイブル分布の名前で知られているW.Weibull(1887-1979)です。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2011」

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