力を伝える目的の部材は、それを繋ぐ個所で強度が下がるのを補う構造を工夫するか、強度が下がることを計算に入れて部材の寸法を決めます。金属材料の引張強度試験をするとき、試験片の両端で保持する個所の断面積を大きくして(図3.13参照)、局部的な応力度の影響が破断部に影響しないようにします。小寸法の丸棒では、このような加工ができませんので、充分な長さの摩擦長になるように支持します。脆性材料では、このような摩擦力で支持する方法を使うと、支持個所またはその近くで破壊します。したがって、圧縮試験を主に利用することになります。このときは、試験体に力を作用させる端面で横方向に拘束力が作用して、三軸圧縮状態が生じて、一様な圧縮状態の試験にならないことが起こります。試験体の高さが横幅の2倍以上であれば、高さの中央部では、ほぼ一様な圧縮応力度状態になります。しかし、高さが低いと、強度が高めに出ます。日本とアメリカではコンクリート材料は円柱の試験体を使い、その高さと直径の比は2です。ヨーロッパや中国では立方体を使っています。同じ材料で圧縮試験をすると、立法体の方が高めの強度を示します。
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