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10. 衝撃・振動・疲労

10.6 破壊に影響する寸法効果


10.6.3 穴を空けた部材

図10.7 リベットの穴あけ部材の静的破壊
 鋼板に穴を空けてリベットで綴じる方法は、鋼構造物では普通に用いられていました。現在はリベットに代えてボルトが使われています。鋼板の方に注目すれば、この穴は断面積を減少させる一種の欠陥です、穴の位置を伝って破壊しないように、そして、静的な強度が落ちないようにするため、穴の配置に工夫が必要です。横一列に穴を空ける場合、原則として、少なくとも純断面積の75%を有効に使えるようにします。今、千鳥に穴を配置して一列に並ぶ穴による断面控除を避ける工夫もしますが、斜めの位置にある穴を伝って破断することが無いようにするため、斜め位置の穴を繰り込むときの控除の方法も提案されています。穴の周辺は、応力集中の個所ですので、静的な引張力の作用する環境では、亀裂は穴の周辺から発生するとの予想があります。しかし、実際には塑性変形によって、最小断面が全体として一様に引き伸ばされて破断します。ところが、疲労によると考えられる破壊は、穴周辺の応力集中個所からの亀裂が観察されるだけでなく、板の端から亀裂が進行することがあります。このときは、穴の位置に関係なく、力の作用方向と直角に亀裂が進行することも観察されています。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2011」

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