目次ページ  前ページ   次ページ

14. 立体図形の射影変換

14.2 仮想の四次元空間での投影


14.2.6 直線が直線に・平面が平面に変換する条件の証明

 射影変換の重要な性質は、元の図形に在る任意の向きの直線が、変換後も直線になることです。手描きで透視図を描きたいとして、前章の図13.1に見るような、座標軸に平行な補助線の束を放射状に描くとします。この元図形は、縦横同寸法の方眼状の図形です。消点を狙うように放射状の補助線を手描きで適当に描いても、一応、尤もらしい透視図作成の補助に役立ちます。しかし方眼交点を対角線に結ぶ方向でも直線になっていなければ幾何学的に正確な射影変換にはなりません。立体図形の射影変換では、元の図形で平面であった多角形図形が、変換後も幾何学的な平面性を保存する変換です。この条件は、射影変換の代数式14.4の形から演繹できます。分数式ですので、変換そのものは非線形ですが、分母・分子ともに(x,y,z)の一次式であることと、分母が共通です。元の立体図形上で任意の向きの空間直線を考えたとき、その方向余弦を表すベクトルは、変換後に別の向きの方向余弦に変ることが式14.4から分かります。平面上では任意の向きに直線を引くことができます。そのどれも直線性が保たれれば、平面が捩れていないことを意味しますので、射影変換で平面が平面に変換されることを保証します。立体図形の射影変換は、或る消点と変換元の図形の座標とを結ぶ、放射状の直線に沿って座標を移動させる変形です。変換後の座標は、その直線上のどの位置にあってもよいのではなく、他の点との関係で、平面が平面に変換する条件を満たす必要があります。これに、擬似的な四次元のフイルム面への投影と言う、抽象モデルを使うのです。
2009.2 橋梁&都市PROJECT

前ページ  次ページ