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7. 文章構成の学問的な扱い |
7.2 欧米に学んだ日本語の言語学 |
7.2.8 標準語を提案することの得失 |
動物は、種別ごとに固有の発声で相互にコミュニケーションをします。例えば、ウグイスの鳴き方には方言違いを聞き分けることがあります。世界には何千もの言語があると言われます。その数は、微妙な方言違いを厳密に区別すればするほど増えます。或る一つの体系と認められている言語は、案外なことに丈夫な文法骨格を持っています。その理由を説明する理論の一つが生成文法です。幼児期の話し言葉は、主に母親から教わります。この環境では文字を使いません。同じ言語を使う集団は、大なり小なり女親で繋がった血縁集団になり、これが民族を構成します。文字が使えなくても、口伝で正確に受け継がれてきた文学があります。アイヌのユーカラがそうでした。むしろ、文字を使わない方が、言葉を変質させません。ところが、為政者や権力者、さらには国家が言葉を制御することも起こるようになりました。その一つが、標準語の提案です。朝鮮半島では、漢字支配を嫌って、ハングル語を使うようになりました。欧米が行った植民地化は、文字表記にローマ字を使う強制が見られます。 |
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