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7. 文章構成の学問的な扱い

7.3 創造的活動としての作文


7.3.1 語の並びを組み立てること

 話し言葉を聴き、また、文字を並べた書き言葉を読むことは受動的です。自分の言葉で話すことと文章に書くこととは、能動的で、かつ創造的な活動です。どちらも、直接間接の区別はありますが、文字並びの論理的な組み立てが行われます。これが作文(composition)です。構文の用語があります。構造言語学(structural linguistics)の専門分野もあります。ここに、構造の用語があることに注意します。我々が文章を考えているとき、頭の中で自分の声(音)を聞いて発想しています。次いで、その声を表す文字を連想(association)します。日本語では、どの漢字を使うことが正しいか、の選択をします。ここに日本語の素養が必要です。語彙を豊かにするには、上質な文芸作品を多く読むことです。定型的な慣用語句を覚えることも役にたちますが、それらを多用すると、返って下品な文書になります。音では知っていても、書けないことが起こります。そこで辞書の世話になります。良い辞書は、例文や慣用句が載っています。ワードプロセッサ(ワープロ)は、内部的に辞書を持っていて、読みから候補の漢字を表示してくれます。しかし、慣用句は扱いませんし、必ずしも思っている文字または文字並び(熟語)が出ないことも起こります。ワープロを使うようになって、同音異義の漢字の誤用を見るようになりました。例えば、「人工衛星」を「人口衛生」と変換しても、気が付かないミスです。

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