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22. 数値解析とグラフ化

22.4 数値積分のアルゴリズム


22.4.4 高速フーリエ変換を応用する方法がある

 数値積分を扱う時系列の連続データは、実践的にはある個数分だけを取り出して計算します。このデータをフーリエ変換しておいて、sin, cosine成分別のフーリエ係数を求め、これに個別に周期を乗じ、積分に伴うsin, cosine成分の交番を考え、逆フーリエ変換で合成する方法があります。この方法は、高速フーリエ変換と、その逆変換である高速フーリエ合成を利用することで実用計算に載るようになりました。ただし、上の梁モデルを使う計算との相違は、サンプル数を2のn乗個にする制限があります。筆者は、サブルーチンソフトのNUMPACK(二宮市三)を利用しています。この方法では、或る周波数範囲のバンドパスフィルタが、その範囲のフーリエ係数を選択的に0にすることで簡単に実現できます。計算されたフーリエ係数から、加速度、速度、変位ごとにスペクトルの計算も得られます。前章で例示した図21.6 衝撃振動波形の解析例は、高速フーリエ変換とその逆変換とから、速度波形と変位波形を計算しています。このとき、バンドパスフィルタの設定は、低周波分は10Hzまで、高周波分は120Hz以上をカットして計算しています。
2009.10 橋梁&都市PROJECT

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