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23 道具としてのコンピュータ

23.1 道具と技能と技法


23.1.1 技術は三つの要素があること

 幾何は図形を扱います。コンピュータのモニタに表示する図形は、オブジェクトと言う表現で括るのが一種の習慣です。その説明の前に、遠回りのようですが、技術論から説明を始めます。辞書を見ると、技術は「理論を実地に応用するわざ」の説明があります。和語に分解すると、わざすべです。術を使う用語は多く、武術・芸術・医術・算術・仁術・忍術などと見られます。漢字の技は手偏ですので手を使う意義が強く、一般に技術と言えば、工業的な作業に関係すると理解されています。科学技術と繋いだ四字熟語は、科学が理論の意義に解釈し、技術が応用に当たります。筆者の定義は、技術を三つの要素「道具・技能・技法」の構成であると解釈しています。計算幾何学は、学問の体裁をとるための言い方ですが、幾何の計算にコンピュータを応用する計算術を研究します。コンピュータは道具(ツール)です。装置(デバイス)の言い方もしますが、より抽象的なハードウエアの言い方があります。コンピュータを使う技能の代表が、キーボードタイピングです。これには道具の機能と特徴を弁えた上で、使い方の練習が必要です。自己流の使い方でも仕事の上では問題としませんが、正式な使い方には合理的な根拠がありますので、個人の責任で基本技能を覚えます。三つ目の技法が、プログラムです。ここまでの説明は、全く抽象的です。具体的に何を目的として応用するかが見えません。個別の応用目的は多種多様です。幾何の計算に絞っても、長さの計算・面積の計算など、個別に説明をしてきました。ここでは、コンピュータそのものを、計算用道具として見て、その機能と特徴を説明します。
2009.11 橋梁&都市PROJECT

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