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23 道具としてのコンピュータ

23.1 道具と技能と技法


23.1.2 算盤の使い方も常識としたいこと

図23.1 標準的な四つ珠算盤
 手軽な計算道具に電卓(卓上電子計算機:desktop calculator)利用できるようになって、算盤(そろばん:abacus:図23.1)を使う計算場面が激減しました。しかし、歴史の古い算盤の算法についての一通りの常識があると、コンピュータを使う算法を理解する上で役に立ちます。例えば、補数浮動小数点数レジスタ、その桁数、などの概念は、算盤で理解できます。算盤は、5進数を補助に使う10進数の算法を使っています。算盤を使って引き算をしていくとき、引けなくなったときにどうするかが、面倒です。小学校で手ほどきを受ける引き算計算は、位取りの低位から引き算をするとして、引けなくなった場合には、前の桁から10借りてくると習います。しかし、全体が引けなくなった場合の問題は含ませていません。前の桁から数を借りてくる算法が補数の基本的な概念です。算盤に達者な人に聞いたところ、引けない場合には桁の空いている個所か、別の算盤を使って、逆向きの引き算をするそうです。機械式の計算機(次ページ図23.2)は、引き算の結果が負の数になるとレジスタの左に9999…と詰まることが眼で確認できます。この表し方が補数表現です。コンピュータのレジスタは、負の整数を2進数の補数で表します。そうすると、整数の-1は、レジスタのすべてのビットを1にした表現になり、-1に続く0は、すべてのビットを0とします。コンピュータのレジスタは、眼で見て状態を確認することができませんので、初心者が2進数の内部表現を理解することが難しいのです。
2009.11 橋梁&都市PROJECT

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