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23 道具としてのコンピュータ

23.1 道具と技能と技法


23.1.3 電卓もれっきとしたコンピュータであること

図23.2 手回しの計算機(タイガー)
 電卓は、機械式の(電気機械式も含め)計算機を電子化するアイディアで開発されました。その構成は、内部に設けた三つのレジスタが基本構成です。掛け算「A×B=C」を計算するとき、乗数・被乗数・結果をセットするレジスタが必要です。整数計算で10桁×10桁の結果は20桁になります。簡単な電卓の表示窓は10桁用一つで済ましていますので、掛け算結果が整数10桁を超えるとエラー表示になります。これが桁あふれ(オーバーフロー)です。また、小数点以下の0の数が、10以上になる数は、0しか表示しません。これがアンダーフローです。このような、使い方で起こる誤りやクセを低学年の小学生に理解させることは難しいでしょう。簡単な電卓は、内部メモリ用レジスタが別に一つあります。このメモリを使いこなす知恵が、電卓を使うときの技法です。因みに、電卓を使うときの技能は、テンキーを見ないで、伝票の方を見ながら入力する指使いです。銀行などの新入社員は、この技能を修得しなければなりません。脱線的な話題になりますが、スポーツは、体を道具として使って競う技術です。特に体術と言うときは柔道や相撲の意義があって、道具を使いません。体格や運動神経は両親から受け継いだ素質で取替えができませんが、技法(わざ)は個人の努力で向上させる楽しみ方があります。スポーツに限らず、技術力を評価したいとき、ハンディキャップを客観的に評価できる段級クラス分けのアイディアは、利用の仕方に注意すれば、非常に民主的で公平な制度です。
2009.11 橋梁&都市PROJECT

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