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22. 数値解析とグラフ化

22.4 数値積分のアルゴリズム


22.4.3 単純梁の曲げモーメントの計算モデルを使う方法

 加速度から動的な変位を求める計算は、数値積分を二回します。二回の積分計算は、梁の構造力学では、荷重分布から曲げモーメントを求める計算でごく普通に行われますので、計算のアルゴリズムに単純梁モデルを考えます。このモデルは、サンプル数N個の加速度データを等間隔に並んだ集中荷重に見立て、長さ(N+1)の単純梁で考えます。加速度データの番号付けは1からNまでの事象の時間軸を梁の長さに当て、測定始めと終りとを支点とする単純梁に見立てます。加速度を集中荷重に見立てると、速度は剪断力に、変位は曲げモーメントに当たります。単純梁を考えると、両側の支点で曲げモーメントが0になりますので、上で説明した「0から0まで」の条件が得られます。振動現象をモデル化するときには、速度に相当する剪断力が梁の両端で0になる条件が必要です。これは加速度データを荷重と見立てたとき、その全体の合力とモーメントが0にするように、直線的な分布をするような補正荷重を加えます。理想的に「0から0まで」の条件で測定データが得られれば、この補正が必要ではなくなります。逆に見れば、この補正項は、センサを含めた測定システム全体の特性判定に使います。
表1: 加速度に直流分と直線的なトレンドがあるときの速度と変位の基礎計算

  • 時系列の注目点の番号は1からNまでであるが、前後にダミーとして0とN+1を加え、ここを支点とした、長さ(N+1)の単純梁を考える。
  • 途中の挌点に集中荷重が載るとして、梁の剪断力と曲げモーメントを計算することは、数値積分を2度行うことです。。任意の荷重が作用したとしたとき、左右支点で剪断力と変位が0になるようにDC成分とトレンド分の荷重を加えます。離散値の積分(和分)計算式を下に示します。
2009.10 橋梁&都市PROJECT

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