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22. 数値解析とグラフ化

22.4 数値積分のアルゴリズム


22.4.2 0で始まり0で終る条件

 構造物は、常時微動を例外とすれば、静止している状態が標準です。何かの撹乱力で振動を始め、或る経過時間の後で再び元の静止状態に戻ります。変位が元に戻らないときは、何がしかの歪みが残ることであり、これは部分的には破壊が起こることですので、ここでの測定現象の解析では考えません。電子的な測定装置は、測定開始前の静止状態が必ず要求され、その間に電子回路を安定させ、出力を0にする調整が必須です。一回の振動測定単位は、できるだけ、加速度・速度・変位ともに「0で始まり0で終る」或る経過時間で区切ります。衝撃加振は、経過時間が数秒ですので、電子回路のドリフトの影響を殆ど受けません。歪みゲージ式の加速度センサを使う計測システムは、重力のような静止時からの測定もできますので、この直流分を除くバランス操作が必須です。実践的には、常に理想的な0バランスは得られませんので、数値解析の段階でも補正を考えます。このこのように計画して得られた加速度のデジタル記録を使って、数値積分を応用して速度・変位データを計算し、「0から0まで」の条件を考えてデータを整理します。
2009.10 橋梁&都市PROJECT

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