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22. 数値解析とグラフ化

22.4 数値積分のアルゴリズム


22.4.1 数値積分の理想と現実

 理論式が知られていても、実用的な一意の代数式が提案できない幾何学的な曲線は、部分的な曲線をテイラー展開などで近似しておいて、力任せの数値積分で曲線形を求めます。例としては、クロソイド曲線の計算があります(第5章3節)。この場合には、理論的に正確な曲線形が知られていますので、誤差がどれだけ出るかも判り、実用的な精度をにらんで数値積分を計画します。この節は、構造物の加速度振動を測定したデータを使い、それを2回積分すれば速度と変位を求めたいとして、どのような問題があって、それをどのように解決するかの方法の解説です。一般的な曲線は二次元または三次元的ですが、ここで扱うグラフは、一価関数y=f(x)の形に限り、折り返し波形を扱いません。こちらの数値積分の前段階として、少し遠回りですが、順序グラフと分布グラフの解説が必要でした。数学原理的に考えると、一回の積分ごとに積分定数を補正しなければなりません。計測器で得られる加速度のアナログデータをデジタル化した、或る有限個数サンプル数のデータを使う数値積分をしてみると、二つの積分定数を吟味しただけでは、合理的な結果が得られません。つまり、元データを頭から信用するのではなく、何かの補正を必要とします。よく判りませんので、あらゆる可能性を試す必要があります。
2009.10 橋梁&都市PROJECT

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