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22. 数値解析とグラフ化

22.3 元データの恣意的な補正


22.3.1 正規分布になるような補正をすることがある

 偏差値とは、学力試験結果を全体集団の中で個人の相対的な位置づけを判断するときに、学力偏差値として利用されることで、広く知られるようになった用語です。もともと、統計学の原理を踏まえて判断に利用する数ですが、数値が一人歩きをするようになって誤解も生まれ、多くの議論を引き起こしています。時系列ではない母集団の数値の集合が、全体として正規分布に近い場合には、偏差値に或る程度の評価を下すことができます。しかし、母集団数が少ない個別の場合には、成績順位を表す順序グラフの方が判り易いでしょう。順序グラフから、分布グラフに相似な性質を持つヒストグラムを作成することは、普通、しません。しかし、少人数クラスで、特定科目の学力相対評価をしたいとき、得点並びに偏りがあって正規分布と近似していなければ、元の問題設定や得点配分を調整したいことがあります。褒められた方法ではありませんが、書類の形式を整えるため、得点結果の方で、俗に、下駄を履かせると言う恣意的な処理をすることがあります。この方法は、元の大小順位を変えないで、順序グラフの形を、図22.1のグラフ(3)に変換することです。学力の絶対評価は、母数の多い集合から求めた偏差値を参考にします。しかし、地域ごとには、プライドを持ったお山の大将のご機嫌を取るため、相対評価をする方法が受け入れられる様です。
2009.10 橋梁&都市PROJECT

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