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16. 長さと面積

16.2 距離に関連した問題


16.2.1 曲線の延長を求める課題

 鉄道の時刻表の駅名には、起点からのキロ程が書いてあります。この長さは、路線に沿って起点から測った曲線長さです。したがって、幾何学的な直線距離よりも長くなります。ただし、運賃を計算するときに使う営業キロ程と同じではありません。新幹線は在来線よりも実路線長が幾らか短いのですが、営業キロ程は在来線に合わせてあります。鉄道も高速道路も、路線わきに実際のキロ程表示の杭などを見ることができます。路線は幅があり、曲線路では内外で曲線長が変ります。管理上の距離は、路線幅の中心線に沿って測ります。それも、実際には適当な区間に区切った多角形の辺長を測って積算します。斜面に沿った実距離を測ることもしません。地球の丸みを考えに入れると、高度の影響もあるのですが、実用的には考える必要がありません。学問的に考えて、どの程度の距離誤差が出るかを計算することは興味がある問題になるでしょう。曲線を表す解析式が分かっていても、曲線に沿って二点間の長さが解析的に数値計算に向くように得られることは、限られた条件の場合だけです。一般的には力ずくで数値積分をしなければなりません。これが計算幾何学の課題ですが、さらに言えば、数値計算のプログラミングに種々の工夫が要求される課題です。道路工学では、クロソイド曲線第5章3節参照)を扱うときに多くの苦労があり、大部の数表を準備しなければなりませんでした。手計算で計算を進める手法をそのままプログラミングに応用するのではなく、発想を数値積分に切り替えると、非常に単純なプログラミングになります。この計算では、曲線を折れ線の集合で近似します。隣り合う二つの折れ線を二辺とする鈍角三角形で、二辺の長さの和と実際の曲線長さとの差が誤差になりますので、誤差の累積が或る精度以下になるように制御することで実用計算に乗ります。
2009.4 橋梁&都市PROJECT

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