目次ページ  前ページ   次ページ

16. 長さと面積

16.2 距離に関連した問題


16.2.2 プロッタを使う場合の最短経路問題

 作図装置にペン描きの機械式なプロッタを使う場合、ペンの移動はXYの座標軸2方向だけで制御します。斜めの線の作図は、ソフトウエア的に、ギザギザの線の集合に直します。作図に要する時間は、ペンの移動時間で決まりますので、その積算はマンハッタン距離に比例します。線を引かないでペン位置の移動も含めたペンの全移動時間の積算で、作図全体の時間が決まります。線を引く向きを変える回数が多いと、ペンの起動と停止の時間も嵩みます。プロッタは手描き製図の時間よりも高速であるとは言え、大量の大型図面を作成するとき、作図に要する積算時間は長時間になり、作業全体の能率と関係します。線の描き終わりから次の線の始めまでの移動は、無効な作図ですので、なるべく、一筆書きで線を描くようにしたいものです。平行線を何本も引くとき、一方向の動きだけで描くよりも、往復して描くようにすればペンの走行距離が約半分になります。しかし、作図のデータ全体を通して、なるべく一筆書きのデータに並べ直す汎用のアルゴリズムはありません。レーザプリンタやインクジェット方式の原理を使う作図装置は、作図線の多少に関係なく、用紙の送りで作業時間が決まります。インクジェット方式のプロッタでは、インクヘッドが左右に動く時間が掛かりますので、有効な作図幅(ビューポートの幅)が狭い小型の装置は、作図時間が短くなります。
2009.4 橋梁&都市PROJECT

前ページ  次ページ