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14. 立体図形の射影変換

14.2 仮想の四次元空間での投影


14.2.2 逆変換の式も考えておく

 前ページの式14.1において、上の方の式で表記した4×4のマトリックスは、図形の四次元世界座標からカメラで見た四次元視点座標に変換します。カメラ本体には固有の四次元の座標系を持たせ、カメラ本体を世界座標の中で回転させる変換マトリックスを考えます。上の4×4のマトリックスは、その逆変換マトリックスの意義を持ちます。第一行のベクトル(A1,B1,C1,D1)は、擬似的な四次元カメラの視軸の向きを与えますので、カメラの位置ベクトル(wc,xc,yc,zc)を単位化して求めます。位置ベクトルのノルムは、世界座標の原点とカメラとの距離です。この位置ベクトルは抽象ベクトルですので、幾何ベクトルの寸法を計算する方法で求める「自乗和をルートに開く長さ」をノルムと言い換えます。ノルムは正の数で言います。式14.1のEは負の符号を持ちますが、この絶対値がノルムを表します。代数的に式14.1の逆変換を考えることの幾何学的な意義は、視点座標系で見ている座標値から、元の世界座標での座標値に戻すことです。この変換に使う4×4の行列の逆マトリックスは単純に行と列とを入れ替えた転置マトリックスです。同じ関係式で三次元の場合は前章の13.3項、式13.6で紹介しました。
上のマトリックスの書き方は、4元連立一次方程式の一次式の集合を表していて、第一行は次の関係式と同じです。(紛らわしいのですが、4元は座標の次元であってdimensionの意義、一次はlinearの意義です。)
2009.2 橋梁&都市PROJECT

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