コンピュータグラフィックスで扱う射影変換は、元の図を別の場所に変形して貼り付けることを目的とする使い方をします(第9章、図9.3参照)。このときの代数式の誘導には、変換・逆変換の二段階を考え、力ずくで結果を合わせます。その方法は、単位正方形と任意の四辺形との射影変換と逆変換の対応式を求めておいて、単位正方形を媒介として、二つの四辺形の間で、射影変換の対応を求めます。任意形状の四辺形を、上で解説した投影モデルに当てはめようとして、種々の向きを工夫しても、単位の正方形が得られるような投影変換は、一般には得られません。それは、アフィン変換分が加わるからです。つまり、上の節で誘導した射影変換の諸式は、実用計算を目的としたのではなく、射影変換の数学的原理の解説として理解します。図形の射影変換を実践的なプログラミングに応用するには、代数式の扱いが簡単になるような工夫が必要です。これが、計算幾何学の課題です。(実用に使う式は、「島田静雄:CAD・CGのための基礎数学:共立出版:2000:付録E」を参照して下さい校正ミスがありますので共立出版のホームページでアーフターサービスも参照して下さい)。
2009.1 橋梁&都市PROJECT |