目次ページ  前ページ   次ページ

9. 図形の変換の数学

9.5 射影変換


9.5.1 透視図は射影変換の応用である

図9.3 射影変換でコピーされた種々の外形枠を持った図(近藤・田嶋)

 図学原理での投影は平行投影です。立体図形をカメラで撮影して得られるような透視図(パース)は図学的には中心投影です。この数学原理を射影変換と言います。アフィン変換と同じように、一次・二次・三次のような次数の区別があります。一般的な透視図は、種々の位置にある平面図形の集合を変換したと考えることができます。二次元の射影変換は、平面図形を一旦三次元空間に置いて、カメラを使って適当な向きで撮影して得られる平面図形です。数学的にn次元の射影変換を扱うとき、一旦(n+1)次元の擬似的空間に図形を置いて、仮想の中心投影カメラを使って、再びn次元の図形に戻すように変換操作を行わせます。平面図形の射影変換の作図例は、図9.3を見て下さい。射影変換の一つの特徴は、直線は直線に変換されますが、平行直線は平行性が保存されません。立体図形の射影変換は、平面が平面に変換される性質を持ちます。立体図形の射影変換の実例はあまり馴染みがありません。一つの例は、立方体と台形の関係がそうです。具体的な射影変換を行わせる代数式は参考文献にまとめてあります。これは、直方体から任意の射影変換体に変換する公式と、その逆変換の公式をまとめてありますので、それを組み合わせることで、自由な射影変換を行わせることができます。幾何モデリングに応用するときは、変換対象の座標データをファイルに落とし、Basic文で変換プログラムを作成して座標変換を行わせ、それを再び読み込んでモデルを再構築する方法を提案することができます。
2008.9 橋梁&都市PROJECT

前ページ  次ページ