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13. 透視図と射影変換

13.4 射影変換に関する二三の問題


13.4.3 透視図法は非可逆的な変換であること

 三次元世界に在る形状を中心投影法で平面図形に変換する透視変換の計算は、前ページの式13.11で、dに代えてxを考えます。変換に使う三次元の座標(x',y',z')は、最初から視点座標系を使います。したがって、前もって、カメラと対象物との相対的な位置関係を世界座標系から視点座標系に変換しておきます。投影面上の座標からウインドウビューポート変換をしてグラフィックスを得ます。透視変換は、幾何学的には二次元の図形に変換することですので、次元数が一つ下がります。したがって、一つの投影図から元の三次元形状の座標を求めること、つまり逆変換はできません。元の三次元図形の座標に復元したければ、少なくとも二つの投影図を組にしなければなりません。工業製図は、複数の投影図を組にして使うことが標準です。動物の眼は、二つあることで、立体図形の形状を認識しています。これを数値的に扱う応用技術の一つが写真測量(photogrammetry)です。一枚の投影図を使うことができるのは、平面図形を三次元空間に置いたモデルを考えた中心投影変換です。
2009.1 橋梁&都市PROJECT

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