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8. 二直線の交点計算と応用

8.5 投影図の隠れ線と隠れ面の処理


8.5.2 面を視点順に並べ直すこと

 多面体の各面は、辺を介して連続的に繋がっています。直接繋がっていない面同士は空間的には独立していますので、重なって見える条件の場合には視点座標系で前後関係を区別することができます。視点から見た一点が、その面上にあるとしたときの空間的な座標を計算するには、面を表す代数式を使います(第2章の図2.3参照)。平面図形としての座標(y,z)を代入すればx座標が計算できますので、これを奥行き情報として使って、面の前後関係を判定します。平行投影の場合にはこれで良いのですが、中心投影の場合には歪んで変換された面について、面を表す式を求めます。この奥行き情報を使って、面のデータを視点順に並べ直します。この処理は、面のデータを保存するメモリ上の構造と関わりますが、これについては後の章で解説します。コンピュータグラフィックスのペインティング技法を応用するときは、油絵で絵を描くように、視点から最も遠い面から手前の面を順に、色違いで上描きして行きます。この手順を取ると、自動的に隠れ面処理ができます。線図で隠れ線処理をしようとなると、線分の交差判定をしなければなりません。このときは、面を手前側から取り出す手順を取ります。ただし、これらの方法は、凸多面体ではうまく処理できますが、凹多面体では必ずしも成功するとは限りません。
2008.8 橋梁&都市PROJECT

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