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7. コンピュータグラフィックスの基礎

7.1 投影法の原理


7.1.4 透視図法では図が歪むこと

図7.3 高さ方向に歪んで写った写真
 透視図法は、図7.2のようなイラストで説明してあるように、作図原理は分かり易いのですが、手で描く技術となると手間がかかります。その理由は、同じ寸法の対象物でも、遠くにある側を小さく描かなければならないからです。つまり、実物の寸法に比例した図になりません。或る程度の距離を置くと、多少の奥行きの違いがあっても寸法を変えなくて済みます。この極限が平行透視であって、第三角投影法の理論的背景です。第三角法が親しみ易い理由がもう一つあって、平面図・正面図の図の配置が、対象物の展開図を作成したときの図のつながりと同じになることです。これは、前第6章の図6.1図6.2を見比べて理解して下さい。中心投影法では、視点から投影面に垂直に降ろす垂線の向きが視軸であって、この軸から外れるほど、図形がひずみます。この性質を積極的に利用する撮影法があります。写真屋さんは、レンズがフイルム面に対して相対的に上下に移動する、あおりが利く特殊なカメラで撮影することがあります。高層ビルの建築物を撮影するとき、高さ方向の線が真っ直ぐになっている写真がそうです。これは広角レンズで撮影したネガの、視軸からずれた端の方を利用していることになります。遠くに置いた対象物を撮影すると平行投影に近づきますが、この投影原理は、斜投影ではありません。

図7.4 あおりの技法で撮影した建築写真
2008.7 橋梁&都市PROJECT

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