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11. 小径間吊橋の計算(続)

11.1 補剛桁の支点構造と塔との関係


11.1.1 遊動円木の性質を考えること

図11.1 遊動円木式の支持構造
 吊橋の補剛桁を桁端部で支持する方法は、二つの構造モデルがあります。一つは、桁端部を遊動円木のように支持する構造。もう一つは、単純支持桁の支承構造を基本とする考えです。どちらの場合も、補剛桁は橋軸方向の移動を考え、接続する路面に伸縮装置が必要です。標準的な吊橋の塔は、塔頂のサドルから伝わる鉛直力を支える垂直の柱です。吊材は主ケーブルから鉛直に補剛桁を吊り下げます。橋軸方向から見ると、ケーブル・吊り材・補剛トラス・塔が垂直面内に並びますので、支間方向では、補剛桁と塔との間に隙間が必要です。したがって、吊橋の力学モデル(前章の図10.6)で見るように、塔頂間距離よりも補剛桁の支間を短くします。塔を通り抜けて補剛桁を連続させたいとなると、塔柱を傾斜させ、英字のAのように、塔柱下部を開かなければなりません。斜張橋は、この形式の塔構造を見ることが多くなりました。幅員が狭い吊橋は、横荷重に対する塔の倒れの安全率を上げるため、塔の基部を開くことも行われます。長大支間の吊橋の桁端は、ケーブル吊り材ではなく、塔の或る高さの個所から補剛桁端部を吊る遊動円木構造か(図11.1a)、下から支える(図11.1b)ようなリンク構造に構成します。中小吊橋では、アバットで水平移動を許す通常の支承構造で補剛桁を支え、ロッキングタワーのヒンジ支点を外側に外しています。
2010.2 橋梁&都市PROJECT

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