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11. 小径間吊橋の計算(続)

11.1 補剛桁の支点構造と塔との関係


11.1.2 橋軸方向水平力を吸収する構造の工夫

 吊橋は、自重の大部分が吊り材を介して主ケーブルに伝わりますので、支点反力と剪断力とは、同じ支間で考える単純桁よりも大幅に小さくなります。日本では地震がありますので、橋軸方向に補剛桁の移動を許すことと、地震で生じる水平力を吸収させることとを同時に考えます。補剛桁が橋軸方向に水平移動することを拘束する方法として、支間中央で、主ケーブルの吊り金具を補剛桁に固定させるか、斜め部材(center diagonal stay)を設ける例を見ることができます。補剛桁の橋軸方向慣性力は、一部がケーブルに伝わり、補剛桁が左右逆対称に変形します。しかし、これだけでは水平力を取り切れませんので、斜張橋のように塔から斜めのケーブル(tower stay)を張るか、念のため、桁端部に弾性的な拘束を工夫します。支承の水平移動の遊間を超えて、支承と伸縮装置を破壊させないようにするためです。支間中央で、補剛桁全体重量の水平震度相当の水平力が作用したときの変位量の計算が必要です。これは、吊橋中央に対して左右独立した吊橋構造系を考え、左右のケーブル水平力に差があって、桁が左右逆対称に変形するときの弾性エネルギーを計算すれば得られます。再現設計計算では式の紹介は省きますが、もし走行重量車を支間中央付近で急停止させ、支点上での水平変位の測定が得られるならば、この理論で数値計算をして比較します。風荷重のような水平荷重による変形は、補剛桁の横方向の曲げ剛性と同時に、塔高さで支えた横方向の振り子状の復元力とで抵抗するとして計算します。
2010.2 橋梁&都市PROJECT

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