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11. 小径間吊橋の計算(続)

11.3 温度変化による応力と変形


11.3.2 ケーブルのクリープもあること

 ケーブルは、持続荷重が作用しているとクリープ歪みが出ます。吊り材もそうですが、主ケーブルの長さの変化は、補剛桁全体の縦断勾配を経年変化させます。主ケーブルは全長が長いので、アンカー部分で長さの調整範囲を超えるほどのクリープが発生するのは問題です。架設直後の初期形状は、吊り材の長さを調節することで施工します。ケーブルのクリープは、架設後しばらくの間に生じる初期クリープが大きいので、特に撚り線のケーブルは架設前に真っ直ぐな場所を選んで予備的な張力を加えて初期歪みを除きます。素線を真っ直ぐのまま使う平行線ケーブルは、初期クリープが少なく、弾性係数も大きく仮定できます。補剛桁の縦断勾配は、吊橋完成後、クリープによって幾らか下がるので、縦断勾配を経年的に測定することで、クリープの進行を知ることができます。ケーブル端では素線をほどいてコーン状のアンカー金具に錫系の合金を流しこんで固定するのが普通の構造です。コーン部分で合金のクリープにも注意しますが、素線が抜けるほどの変形が問題になったことは無いようです。
2010.2 橋梁&都市PROJECT

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