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11. 小径間吊橋の計算(続)

11.4 風荷重による横変形と振動


11.4.1 捩れと横変形とは分けて計算する

図11.2 振り子状の変位
 吊橋は、支間に対して相対的に幅員が狭いので、横方向の変形または捩れが大きく出易い性質があります。捩れは、もし水平変形と合わさると、言わば橋面を横にめくるような変形か、その逆の振り子のような変形になります。しかし、普通は、ケーブルが左右にありますので、遊動円木のような変位になって、捩れとは連成しません(図11.2)。つまり、横変形と捩れとは独立した力学系として計算することができます。捩れに対する剛性は、桁を並列させた構造では横分配係数を計算することで間接的に解決しています。吊橋は、2主桁橋の性質があります。横方向の変形は、主に補剛桁の横方向の曲げ剛性で持たせることと、振り子として働く復元力で持たせます。横方向は風荷重を主に考えます。それによる応力は大きくないのですが、変形が大きく出易いので、中小吊橋では、放物線状に耐風索(storm cable)を張ることが効果的ですし、経済的です(前章の図10.4参照)。これは、主に支間中央での変形を抑えます。歩道専用の吊橋は、床構造を軽量にできますので、主ケーブルのサグも小さくできます。そうすると、水平方向の変位を抑える効果が低くなりますので、ロンドンのテームス川に架けられたミレニアムブリッジが起こしたような、思わぬ大きな水平振動を起こすことがあります。ミレニアムブリッジでは、デザイン上の外見構造を変えないようにするため、水平振動の減衰率を上げるような機械的なダンパーを敷設しました。
2010.2 橋梁&都市PROJECT

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