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3. トラスの影響線

3.3 トラス橋の影響線固有の問題


3.3.2 影響線が三角形の場合

図3.7 有限長さの等分布荷重の載荷
 単純梁の曲げモーメントの影響線は、図3.7に示すような三角形です。この上を、トラックに見立てた一定長さ、一定荷重強度の等分布荷重(H14のp1荷重)が通行するとして、その影響線面積が最大になるような載荷位置と、その面積を求めることがこの項の課題です(図3.4)。三角形の底辺の長さが載荷長Dよりも短ければ、影響線の全断面積を使います。トラックが梁の左から進行し、影響線の最大値になるところから始め、通り過ぎるまで、途中で影響線面積が最大になる位置を求めます。応力を求める注目点を、支間中央から左側で考えることにします。そうすると、影響線の直線勾配(絶対値)は、注目点の左側が大きくなります。荷重車が左から進入してくると、直下の影響線面積が増えて行きます。荷重車が注目点を越えると、面積増加が鈍ります。右側の影響線の勾配が緩やかですので、荷重車の重心位置が注目点を通過した或る場所で、影響線面積が最大になり、それ以降は減少して行きます。図3.2に示した簡単なモデルを使って荷重車の前後縁の位置を計算すると、下のような式が得られます。
           …(3.1)
     ただし、>のときはを代入する。
 垂直材を持たない下路ワーレントラスでは、上弦材の軸力の影響線が三角形を描きますので、上の計算式を使ってp1荷重に使う影響線面積を計算します。斜材の場合には、桁端を除き、影響線の正負領域が途中で反転する三角形を描きます(第2章図2.10参照)。したがって、圧縮または引張軸力になる場合の最大影響線面積を個別の三角形について、上と同じように計算します。下弦材の影響線は少し特殊ですので、次節で解説します。
2009.6 橋梁&都市PROJECT

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