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3. トラスの影響線

3.3 トラス橋の影響線固有の問題


3.3.1 トラス橋は小支間桁橋を載せる親橋梁であること

 支間の小さな(20m以下の)単純支持の橋梁は、桁橋で渡すのが普通ですし、経済的です。より長い支間を競うのが橋梁技術者の夢です。桁構造で支間を延ばす工夫の一つが合成桁構造です。この適用支間の標準は20〜40mです。床組を構成するコンクリートの床版が、同時に主桁のフランジを兼ねることで、部材利用の合理化を図ります。箱桁構造を採用すると、橋全体の捩れ剛性が上がりますので、支間に対して相対的に幅員の狭い橋でも桁橋構造を提案できます。長大橋の吊橋は、主桁を構成する補剛トラス構造そのものの捩れ剛性を高めないと、風の影響を受けてリボンがはためくような危険な振動を起こすことが知られるようになりました。一般的に、より長い支間を渡す一つの方法がトラス構造であって、トラスのパネル間隔で小橋梁を支える機能を持たせます。支間を大きくしたゲルバー橋・アーチ橋・吊橋などは、外見が桁構成であっても、小橋梁を支える複合構造になっています。支間10m前後の桁橋は、小さな水路を渡す橋梁の他に、幅員の狭い道路または鉄道を高架で渡す構造として多くの需要があります。しかし、設計対象としては面白みが薄いので、あまり重要に考えない傾向があります。トラス構造を採用するとしてのパネル間隔を、10m前後に抑えないと、床組み部分の重量が大きくなって、全体として不経済になります。結果として、40〜70mの単純トラス橋が多く採用され、またパネル割りの数も多くしません。トラス床組みの縦桁は、この小橋梁の主桁です。単純な仮定は、横桁間で単純支持された桁です。しかし、鉄筋コンクリートの床版はトラス全長を連続して打設しますので、床組み全体は多径間の連続桁の性質を示すことが、振動測定の解析で観察されています。
2009.6 橋梁&都市PROJECT

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