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3. トラスの影響線

3.3 トラス橋の影響線固有の問題


3.3.3 トラスのパネル間隔がパラメータに必要

図3.8 下弦材のp1荷重用影響線面積の計算
 垂直材の無いワーレントラス下弦材の影響線の形は、その部材直上の上弦材格点を注目点とした単純梁の曲げモーメント影響線の三角形で、その下弦材の区間で頭を切った形と相似です。影響値が最大になる位置が半パネル長ずれて、その下弦材パネルの、右(または左)の格点位置になります(第2章図2.9参照)。切り取り区間長さは、トラスのパネル間隔(λとします)です。p1荷重の載荷長Dがこの切り取り区間にかかるとき、影響線面積が最大になります。通常、Dは、2パネルに亘ります。しかし、λがDよりも短い場合、載荷長が切り取り区間のパネルの両側に伸びます。この例外が起こるのは、支間中央または支間中央付近の下弦材です。エクセルの表計算機能を生かすようにするため、計算手順と判定方法の論理を詰めておくことにします。
  1. 影響線を求める下弦材は、トラス橋が左右対称の形状であることを考えて、トラス橋の左支点から支間中央までとします。
  2. 影響線を求める注目点の位置は、下弦材パネルの中央に来る上弦の格点です。この格点番号は、1,3,5…の奇数順です。奇数パネル割りのトラスでは、この番号がパネル割り数まで行きます。平行弦ワーレントラスの場合にはパネル割り数が偶数の場合もあり、この場合は1手前までです。
  3. 注目点の位置で、トラス支間を単純梁としての影響線の最大値をfoとします。この頂点位置の左右、半パネルずれた下弦格点位置の影響線の値をfa,fbとします。影響線はこの区間を直線で結びます。影響線の最大値の座標位置は右側格点になり、通常はfa<fb です。奇数パネル割りのトラスでは、支間中央の下弦材の影響線が左右対称になり、fa=fb となります。
  4. 影響線面積が最大になるようにp1荷重の載荷長Dは、最大影響値fbを頂点とするように補正した三角形を考えます(図3.5)。これは、元の三角形の頂点で頭を切った直線を延長して求めます。補正した三角形について、図3.2を応用するようにスパンをa', b', l'に置き換えて影響線面積の最大値を求めます。
  5. 説明が後先になりますが、この計算では、fa=fbのとき、a'が無限遠になってしまいます。そうでなくても、載荷長Dの左端が、対象下弦材の左格点の左に来れば、面積計算が異なります。この特殊条件の予備判定が必要です。図3.5の影響値faと同じ影響値になる位置を右にたどって、fbの右側での座標位置を計算します。そこまでの距離をD’とします(図3.6)。D’>Dであれば、上の(4)の方法で影響線面積の最大値を求めます。
  6. fa=fbのときは、D’=λになります。したがって、D≦λであれば影響線面積の最大値はD×faです。
  7. D>λのときは、載荷長が対象下弦材の格間長の左右にはみ出します。はみ出し長さ分は、左右を合わせて(D−D’)です。この部分の影響線面積を求めるには、図3.4の上の図で、D’の部分を折り畳んだ三角形の影響線面積を計算して加算します。計算式の原理は、図3.2です。
  8. (8) これらの計算式を応用するときにはスパンa, b, l を場面に応じて求めます。計算式は単純で機械的に計算できますので、特に式を挙げることをしません。このような単純な計算をまとめるには、EXCELの表計算に組み立てると便利です。したがって、具体的な計算例は、エクセルSoftを参考にして下さい。

    図3.9 三パネルに亘る載荷の場合
    2009.6 橋梁&都市PROJECT

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