1.5 座屈係数の数値解法

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 数学の問題として座屈を解析することは、同次微分方程式の固有値解析になりますが、数値計算では高次のマトリックスの形で解きます。ただし、複数の固有値を求める必要がなくて、第一次の固有値だけが意味を持ちます。一般に、実用的な解析解が得られるのは単純な条件のときだけですので、条件が単純でない問題ではエネルギ?法の原理を使った実践的な数値計算が有効です。これは、撓み曲面w の式を仮定し、変形により生ずる内部の曲げ歪みの弾性エネルギーと、加えられた荷重がした仕事量を等しいとおいて座屈荷重を求める方法です。撓み曲面w の式は指数関数の級数で表すのが一般的です。例えば、4辺支持板の場合には次のようなフーリエ級数の形が仮定できます。

 m 及び n はx、y軸方向の正弦曲線の半波長の数で、単純支持板の場合には座屈モ?ドに対応します。計算法の説明は省きますが、計算結果は座屈係数の形に整理します。これらの応力は材料を理想的な弾性体とした場合の計算値ですので、実際の材料の降伏点強度よりも掛け離れた値になることがあります。このときは、特に実応力との比で安全率を計算することをしません。


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