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14. 実践的な作文教育

14.5 筆者の作文作業の組み立て


14.5.3 カタログ的参考資料が必要になる

 工学(engineering)は、対象を物造りに特化して技術(technology)を研究する学問(study)です。扱う専門ごとに分類を決め、関係のない問題を省きます。これが捨象です。真理を追究するとなると、さらに抽象化を進める態度を取り、区別して理学または科学(science)と呼びます。工学に応用するのだと宣言する名称もあって、応用物理・応用力学・応用化学・応用数学などの分類を使っています。実際に物造りに取り組むことが技術です。学問の対極と考える傾向があって、やや世俗的な見方をします。18世紀末に始まった産業革命は、物造り技術の科学化の始まりです。代表的には、鉄鋼材料の大量生産が開発され、劇的に低価格化が進んだことが大きな原動力になりました。この時代は、材料の少品種大量生産方式の幕開けでした。材料を物造りに利用する場面は、手作りが基本です。これは、多品種少量生産の性格があります。現代は、機械化・自動化が研究され、品種が増え、選択の自由度が大きくなり、標準化が提案され、カタログ的な資料が必要になっています。
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