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14. 実践的な作文教育

14.4 添削と推敲と校正


14.4.4 無神経な命名の例

 平成5年(1993)に完成した、東京都の港区芝浦地区とお台場地区とを結ぶ吊橋は、一般公募の結果を受けて「レインボーブリッジ」の名前が決められました。管理上の橋名は別にあるようです。このカタカナ名の原義は、英語の (rainbow)です。日本語では虹です。虹の形状は、上半分に円弧を描きますので、rainbow bridgeと言えば、第一義的にアーチ橋を指すと理解します。現実に、アメリカのナイアガラ川にあるRainbow Bridgeはアーチ橋です。東京都のレインボーブリッジを吊橋の名前に採用した経緯は、はっきりしません。問題はその次に起こります。海外にレインボーブリッジを紹介するとき、英語をそのまま使うと誤解されます。もう一つの例として平成17年(2005)に開港した愛知県の伊勢湾東部、常滑市(とこなめ)の沖に国際空港が当初計画されたとき、空港名と周辺市町村の統合で新しい市の名前に付け変えたいとする議論が起こりました。中部国際空港は正式名です。英字表記は、Chubu Centrair International Airport)です。愛称のセントレア (Centrair) は、中部地方を意味する"central"と空港を意味する"airport"を組み合わせた和製英語であって、一般公募から選ばれました。初め、カタカナ語で提案されたのですが、英語を知っている人でも、発想の原義が判りませんでした。常滑は歴史のある地名ですので、こちらも変えるようなカタカナ語の提案は、評判が良くありませんでした。英語のnative speakerに見せると、真っ先に文句がでます。空港単独の愛称として使い、商標登録もされましたので、何とか納得が得られるようになりました。
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