目次ページ 前ページ 次ページ |
14. 実践的な作文教育 |
14.3 短歌と俳句の功罪 |
14.3.3 季語にこだわらない |
短歌も俳句も、一般の人が自分の心情を表す方法の一つとして個人的に楽しむ作品です。しかし、他の人に読んでもらって共感を得たい気持ちを持つことも多く、これが傍迷惑に受け取られます。俳句は字数が少ないので、単独に提示されると、なにを言いたいのかが判らない欠陥文になります。松尾芭蕉(1644 ? 1694)は、旅行記の「奥の細道」が作品の主題です。区切りの良い場所に、一種のまとめとして俳句が添えられていることに注意が必要です。俳句は、字数が少ないことを補うため、言葉の裏に、何がしかの心情を託します。その代表が季語です。季語にこだわる流派の代表が正岡子規でした。文芸でありながら、季語を含める規則で縛るので、そうではない流派との対立があります。明治時代までの男性社会では、漢学を素養とし、漢詩の作詞も行われていました。多くの名作が愛唱されていました。漢詩を真似て日本語での漢字仮名交じり文の作詞も試みられました。この文体は特殊です。旧制時代の中学での校歌の歌詞、また旧制高校の寮歌が代表的なものです。 |
前ページ 次ページ |