相手に話しかける言い方の標準は、相手の情報不足を補なう語順でまとめます。語順とは言わないで、構造・構文のように「構」の字を使うのを見ます。人工言語であるプログラミング言語で書いた文は、一続きの文字並びです。コンパイラは、それを頭から読んで理解し、後戻りをしません。その文字並びは、コンピュータが実行する機械語順に翻訳されて並びます。しかし、実際の実行順は、この順にならないことがあります。これをプログラム文で明示的に作文するときに、GOTO文やCALL文を書き、移動先の目印にラベルを付けます。これは、人がプログラム文を読んで処理の流れを理解しようとすると混乱します。このようなプログラムを作文しないようにする提案を構造化プログラミング(structured programming)と言います。文芸作品は、実用文書の対極にある作文です。こちらは、文章を一回だけ頭から読んでおしまいにするのが普通です。詩歌などは、何度も読み返して観賞し、ランダムにページを開くこともします。専門書では、全体を読み通しておくこともします。内容をランダムに参照する使い方を助けるため、全体を紹介する序論やまえがきを頭の部分に書き、適度に表題をつけた章構成にし、目次と索引を必ず作ります。文章並びから逸れて、参照に使うものは、第一義的には図と表です。別の個所の文並びを参照するときの見出し項目が、脚注、参考文献リスト、付録です。実用文書では、読みの流れを乱す参照事項をできるだけ省きます。 |