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14. 実践的な作文教育 |
14.2 言葉を吟味して使う |
14.2.2 紙に記録されると歴史に残る |
何かの情報を客観的に記録するとき、情感を含ませません。ここで言う情感は、二種類です。物理的な感覚器官、通称でいう五感(視・聴・臭・味・触)で得られる情報と、心情的な情報(喜怒哀楽、愛憎、好き嫌い、予測、など)に分けます。感覚器官を介して得られる情報は、形容詞を使うとしても定量的で客観的な言い方ができて、個人差があるとしても、情報の共有ができます。一方、後者の心情では、自分が思っていることと他人が思っていることとが同じになることはありません。文学的な書き物は、自分の情感を正直に書くことが多くなります。しかし、外交辞令の用語もあるように、「思っている」ことと、「話しをする、書き物に残す」こととは同じではないのが普通です。したがって、建前と本音とを区別して理解することが必要です。好意的な態度は角がたちませんが、いつもそうではないのが現実です。書き物にすると、歴史記録として残ることもあります。その内容が偏ることは普通に起こります。自分に都合の悪いことは書かないことが多く、相手側の悪い方の記録を強調することもしますので、後々まで悪い方の心情を引きずる種になります。 |
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