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14. 実践的な作文教育

14.1 作文以前の一般教養


14.1.7 頭を叩くのは最大の暴力であること

 理不尽な暴力の代表にピンタがあります。軍人が権勢を振るっていた敗戦前までは、日常的に見られました。ピンタは、相手の頬を平手で叩く暴力です。これが行き過ぎると、スリッパなどを使うこともあって、相手の鼓膜を傷める事故は珍しくありませんでした。一方、相撲の手に張り手が認められていますが、上品な攻め技ではないことと、危険であるとする世俗的な判断があります。首から上を叩くことは、武家社会では最大の敵意を持つ行動です。それを引き継いで、ボクシングが野蛮なスポーツであると考えている人が多くいます。幾らか保守的と思うでしょうが、頭頂を下げて相手に見せる行為は、相手に敬意を示すこと以上に、屈服または卑屈を表します。したがって、芸能の舞台などで冗談に頭を叩くしぐさも、また教育的な指導と言う名目を立てて正当性を主張する場合であっても、頭を叩く行為を慎まなければならないのです。
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