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14. 実践的な作文教育

14.1 作文以前の一般教養


14.1.4 インターンシップを理解する

 技術教育は、対面授業と実習(または実験)との二つをバランスよく組み立てます。後者は、社会との接点を学習の場にするインターンシップ(internship;実務の現場経験を積む制度)も採用されていました。ヨーロッパでは、実学教育を目的とした、主に工科系の大学や専門学校の学生が、夏休みなどを利用して企業で実務を経験する制度です。学生と企業との仲介をする協会をイアエステ(IAESTE: The International Association for the Exchange of Students for Technical Experience)と言います。ヨーロッパでは1948年に設立され、日本イアエステ協会は昭和39年(1964)に発足しました。ただし、日本での認知度は高くありません。名神高速道路の着工は、これより前ですが、世界銀行からの資金を利用しましたので、ドイツのアウトバーンにも多くを学びました。これに関連して、日本とヨーロッパの土木系学生の実習にイアエステがサービスを開始したのが始まりです。日本では、この習慣が壊滅してしまいました。その一つの原因は、昭和47年(1972) に施行された労働全衛生法です。企業側は、面倒な安全対策が余分に必要になることを嫌って、実習生の受け入れを敬遠するようになったからです。
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