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14. 実践的な作文教育

14.1 作文以前の一般教養

14.1.2 研究活動を支える教育が重要

 世間の多くの人が誤解していることがあります。大学の先生は、俗事と距離を置いて学術研究をしていると言う思い込みです。大学が発信している活動理念は、教育と研究とを二本の柱としています。研究は、個人単位の閉鎖的な態度よりも、設備と人材とを束ねたシステム的な運営が重要になっています。設備は、予算があれば短期間に調達できます。人材を育てること、つまり、これが教育ですが、短期間で効果の上がるものではありません。工業教育は、過去の知識を学ぶだけではなく、未来志向技術の一翼を担います。教育の中身は、単純な知見に見えることも多いので、ともすれば飽きがきて、受講者側の知識に属することだと勝手に判断して、端折ることもします。そうしていると、研究の質の低下や、技術移転の空洞化が起こります。しかも、折角育てた人材は、研究環境に長く残ることが少なく、社会に巣立っていきます。教える側は、毎年、基礎的な新人教育を我慢強く繰り返します。教育の場では、知識項目の抜けが起きないように工夫した講義資料を作成しておいて、対面授業ができない場合の公平化を図ります。学生の側では、対面授業を受けなくても、そこそこの知識を自習できます。したがって、教官側は、対面授業を有効に活用するための工夫が必要です。この内容は、雑学的な知識が多くなりますが、これが重要です。連想の幅を広げ、納得した理解を得ることに役立ちます。
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