文学的な作文は、個性的な言葉の使い方を工夫します。しかし、実用文書の場合には、できるだけ易しい言葉を選びます。科学技術を扱う文書は、どうしても専門用語を使う場面が増えます。そこで、その用語が現れた場所で丁寧な説明をしておき、後ろのページで同じ用語が現れたとき、どこで説明をしてあるかが分かる案内が必要です。これが索引を作成する目的です。目次とその表題は、中身の構成を理解してもらう目的があります。見出しに使う用語も索引語の対象です。権威主義的な作文は、作者の自己顕示欲のため、難しい用語を説明なしにひけらかすことをしますが、返って下品と評価されます。漢字は表意文字ですので、漢字用語は、そのままでも理解できる便利さがあります。欧米語は表音文字を使いますので、その意味と定義とは欧米人にとっても用語説明(glossary)を必要とします。欧米語では、文字数が長くなると頭字語(acronym)に置き換える表現を使います。これを日本語に持ち込むので問題を起こします。例えば personal computer をPCと使うのがそうです。日本語の中で引用するとき、最初に元のスペルを併記します。カタカナ語読みのパーソナル・コンピュータとすると未だ分かる場合でも、パソコンと詰めると分からなくなります。建設系の専門用語ではPCと使うのはプレストレスコンクリートの意義ですが、プレキャストコンクリートの場合もあります。読者、それも初学者は必ずしも専門常識があるとは限りませんので、作者は丁寧な索引の作成を心がけることが義務です。 |