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13. 電子出版を考えた作文

13.2 ユーザインタフェースの多様化


13.2.6 貸し本屋の電子化が始まっている

 貸本屋は、日本では書物が高価だった江戸時代からあったようです。また、恐らく日本独自の、地域密着型の、庶民を対象とした図書館的な娯楽機能も持っていました。敗戦後、貸本屋が多く見られました。日本での漫画本ブームは、子供向けの漫画の単行本を貸本屋で扱うようになったことが出発です。少年向け雑誌の中身だけでなく、付録として独立した漫画本も多く見られました。これらの漫画本を集めた貸本屋は、子供たちだけでなく、大人も、通勤電車内で読む気楽な文学書を借りて読む利用をしていました。というのも、これらの書物は、一回読めば終りですので、保存の目的で購入するまでもないからです。古書店で引き取る対象にも向きませんので、貸本屋は古書のリサイクルに便利な書店でした。この形式の小ビジネスは、ビデオテープや音楽CDのレンタルなどにも普及しました。しかし、著作権などによる法的な締め付けがあって、現在では殆んど廃業に追い込まれました。それに代わるのが、例えば社名のブックオフは、全国展開のネットワークを構成しています。欧米には、このような庶民的な貸本屋の歴史的な土壌がなく、公共的な図書館が庶民向けのサービスを行ってきました。電子化書籍は、このような経緯から言えば、必然的に要望されていたと言うことができるでしょう。
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