個人が日記を書くことは、自分の日々の記録を残すことであって、他人に見せることを目的とはしません。日記は、一日の仕事を終え、就寝前、自己修養的な時間を持つことができないと書けません。一方で、世間に注目してもらいたい文章作品を書きたい人は多くいます。書く話題は、自分が経験したこと・思ったことを材料に使います。これらの作品が世間の眼に触れるには、出版ビジネスの世話になる必要がありました。その機会は少ないので、大部分は私家版です。社会活動を終え、隠居の身分になったとき、自分の日記を元に自叙伝をまとめるのも、その延長です。情報化時代を迎えて、インターネットやメールを使う個人的な情報発信が便利になってきました。これは、世俗的な目立ちたがりの心情を満たす道具の趣があります。学術論文に発表することも、少なからずこの心情を映しています。ところが、情報量の爆発は、検索を困難にし、実用的な情報源を埋没させ、結果的に利用ができなくなることも起こります。したがって、改めて、従来から知られている印刷出版機関で情報を得たいとする方向に揺り戻しの要望も起こっています。このとき、相応の費用をまかなうビジネスモデルをどのように計画するかは、模索の段階です。 |