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11. 文章作法

11.5 感覚と感情の表現を使わない


11.5.2 形容詞の終止形が悩ましい

 日本語の学校文法では、形容詞と形容動詞の二つを立てます。しかし、形容動詞に関しては評判が悪く、外国人に教えるときは「イ形容詞」と「ナ形容詞」の分類を使うようになりました。日本語の文法では、形容詞も形容動詞も活用すると習います。語幹に付ける語尾によって、文中では、機能としては名詞にも副詞にも動詞にも使います。例えば、ナ形容詞(形容動詞)の活用は「静かな・静かに・静かさ・静かです」と使い分けます。これは英語でもそうです;「quiet, quietly, quietness, (be) quiet」。「です・ます調」の文体は、「です」が英語のbe動詞の使い方に対応します。ところが、イ形容詞の活用に終止形があることで混乱が起こります。「美しい・美しく・美しさ」そして、「である調」の書き言葉では「美しい」の言い切りを使います。「です・ます調」の話し言葉の動詞表現として、ややバタ臭い「美しいです」の言い方も大目に見るようになりました。筆者は、「美しいのです」のように工夫した言い換えを使うようにしています。

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