日本語の文字並びは、膠着語です。その構造は名詞の後に種々の助詞を膠付けのように繋ぐことからそう言います。一方、動詞の場合には語幹の後に繋ぐ文字並びは活用語尾です。活用語尾の後に、さらに助詞を繋ぐとき、音便によって語形が変化する例が、上の項で説明した「てform」です。日本語文法の参考書には、種々の分類があります。実用文書では、できれば、英語の前置詞と接続詞と1対1に対応する助詞に限定するのが望ましいところです。前章第10.3.3項で説明した「ね・さ・よ」は、英語との対応が取れない助詞です。とりわけ、日本人は気が付かない区別で、外国人が気にする助詞の例に「…まで(until)」と「…までに(by)」の使い分けがあります(なお、tillは話し言葉で使います)。文法の説明では、「まで」は挙げていますが、「までに」は載っていません。これは時間経過に関係して、例えば「5時まで働く」と「5時までに終わる」のように言います。日本語では「9時から5時まで」を「from 9 to five」と訳すクセがあるため、前置詞のbyを使う「from 9 by 5」を思いつかないようです。この使い分けは英語では時制、特に完了形と共に現れるのですが、文法用語では相(アスペクト:aspect)と言います。なお、受動態の用語に見る「態」はvoice と言います。作文の実践ではあまり意識しない文法用語です。 |