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11. 文章作法

11.3 文法的な正確さで書くこと


11.3.8 英語の丁寧語の言い方

 日本語では未来時制がありません。そのため、英語の助動詞will, shallの使い方を理解することに苦労があります。willの訳は「だろう」「でしょう」を繋ぎます。この言い方は、話者の感情がこもります。未来時制は、例えば、「来週の日曜日は桜が満開になるでしょう」の言い方があります。しかし、単純に「来週の日曜日は桜が満開です」と現在形で言います。近未来の事象を現在形で言うのは英語でも普通の言い方です。英語のwillは、過去形のwouldがあります。これが理解を混乱させます。じつは、この過去形は、対話の場合の仮定形に用い、丁寧語にする言い方ですので、実用文に使うことをしません。相手の都合を聞くときの定形は、「もし宜しければ」の現在時制の意を明示的には言わなくて、過去形のwould, should, could, mightを使います。これを理解したいとき、現在形の助動詞will, shall, can, mayとは全く別単語であると割り切ります。とりわけ、shouldの使い方に誤訳が見られます。英語のshouldは丁寧語に使いますので、例えば、日本語で「いらっしゃいませんか?」と丁寧に勧誘する場合、英語の「You should come?」に当たり、行くか・行かないかを尋ねる言い方です。これを、義務を押し付ける「行くべきである」、または「should not」と使われると、禁止と受け取る誤解があります。意義は推奨です。

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