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11. 文章作法

11.3 文法的な正確さで書くこと


11.3.4 自動詞と他動詞とを区別する

 実用文書は、できるだけ動詞の受動態(受身)を使わないようにします。形式的には、受動態は「れる・られる」の助動詞を語尾に付けます。受動態として利用できる動詞は、他動詞に限ります。日本語では自動詞にも使う例があって、敬語として「先生が来られる」の言い方と、「雨に降られる」のような迷惑の受身もあります。ここまでは一般論です。ところが、五段活用の動詞から独立して下一段活用の可能動詞があることが、問題を複雑にしています。それは、「れる・られる」に可能形の使い方があるからです。例えば、「書く」と「書ける」の二種から、「書かれる」と「書けられる」と繋ぐときです。作文技法としては、動詞用漢字「書」を持つ動詞を二種類使い分けるのを避けます。五段活用の方を使って可能の意味を言うときは、くどいようですが「書くことができる」と使います。下一段活用の動詞を形式的に受動形にすると、例えば「書けられる」となります。これを「書けれる」と変形したものが「ら抜き」です。結論を言うと、可能動詞を、できれば使わないようにします。

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