目次ページ 前ページ  次ページ

11. 文章作法

11.2 技術文書は文学的表現を避ける


11.2.1 作文は自分の経験しか書けない

 話すこと・書くことの内容は、自分が経験したことです。話し方や書き方に感覚的な表現が入るのが普通です。一般的な作文常識は、「事実意見」とを区別します。科学技術文書は、意見を控え、感覚的な表現を使いません。具体的な提案には、まず、量的な比較のできない形容詞と副詞を除きます。「思う考える」の動詞も別の言い方に代えます。書いたものは記録として残り、「良し・悪し」を批評できます。口頭で伝える情報は一過性ですので、言った言葉と言いたい内容とが異なる場合があります。典型的な態度は官僚の言葉遣いに見られますが、これは京都の公家風の言語習慣を引き継いでいます。本音建て前の区別を理解する必要がないようにするには、民主主義社会の成熟が条件です。

前ページ  次ページ