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10. 英語と日本語の文構造

10.4 英語と日本語とでの動詞の違い


10.4.1 動詞の意義を持つ漢字がある

 どの言語でも、日常的な動作を表す動詞は、短い音節です。日本語(和語)では、「見る・聴く・書く・取る・する・来る…」などです。耳で聴く分には不便を感じませんが、書き言葉では、場面に応じて一字の漢字を当てます。例えば、とるは「採る・取る・撮る・執る・録る・捕る・摂る・獲る・盗る」などです。ここで使われている一字の漢字は、訓読みをし、動詞の意義があります。中国語の習慣は、二字熟語にして、耳で聴くときと意味の正確さとを区別します。これを日本語に輸入して、こちらは音読みで使います。ただし、日本語の環境では、中国語での四声の区別ができませんので、同音異義語との区別を眼で見て確かめます。「取」を持つ二字熟語は、漢和辞典で引くと「取材・取捨・取得・採取・摂取・聴取・奪取」などが見られます。これらの二字熟語は、日本語では名詞扱いです。動詞として使うときに「〜する」としますので、これらは「スル名詞」です。ただし、上に例を挙げた二字熟語の中では、取材だけが例外です。この用語の特徴は、次々項で説明します。残りは動詞の意義のある漢字二字から構成されています。それによって、状況に応じた動作が分かり易くなります。これらの中で、和語的な言い換えができる熟語があります。例えば「取り捨て・聴き取り・奪い取り」がそうです。この言い換えは、全体として文体が優しくなり、耳で聞いても分かり易くなります。日本語の辞書は、その熟語の定義と使われる状況の例文とを説明しています。

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