目次ページ 前ページ  次ページ

10. 英語と日本語の文構造

10.3 英語と日本語とでの名詞の違い


10.3.4 日本語は抽象名詞が少ない

 和語は、具体的な物の名称を言う語は豊富です。例えば、兄・弟・姉・妹の一字の漢字を、単独には訓読みします。英語は、兄と弟を区別する別の語がなくて、単にbrotherだけです。兄弟、家族という二字熟語は漢語です。音読みで使い、集合名詞であるときと、抽象的に使うこともします。英語の抽象名詞は、和語で表すことが難しいので、漢字熟語を漢和辞書から探します。英語と一対一に対応する語があれば、英語を日本語に訳すときに困りません。先の兄弟・家族がその例です。しかし、いつもそうとは限りません。明治時代の先達は、和製の漢字熟語を工夫したのですが、それも間に合わなくなるとき、読みをカタカナ語にして、そのまま使います。英語は、主語と述語とを連続させて、相互に強く関連を持たせた構造ですので、「文単位で構成される言語」であると言われます。論理学では、主語・述語の対で一つの主張や具体的な説明を表す単位を名辞(term)と約束しています。

前ページ  次ページ