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10. 英語と日本語の文構造

10.2 語順


10.2.6 動きと静止状態の区別

 動詞は、主語として立てた対象の動きを説明します。日本語の動詞は、同じ語幹に付ける活用形で自動詞と他動詞を区別します。例えば、始まる(自)と始める(他)です。英語は、同じスペルを使いますので、文の並びで自・他を区別します。動きがなく、状態を説明する言い方もあります。和語では、在る、居る、がそうです。動詞の使われ方を分類するとき、一つの例として、自動車の駐車(する)と停車(する)の使い分けを挙げます。駐車は、エンジンも止まっていますので、完全に静的な状態にあって、止まっている場所を説明するときに使います。停車は、エンジンが掛かった状態で自動車が止まっている状態を言います。走っていることを言う英語の表現は、現在分詞を使う進行形(be running)がぴったりします。このときのbeは、助動詞です。進行形は、過去形も未来形も使いますが、話題としている今の現在時制では走っていません。今まで走っていて止まったことの時間的な経過を説明するときに、英語では助動詞のhaveを使う完了形があります。では、単純に自動詞を使って「車が走る;例えばa car runs」と言うのは何を言うのでしょうか? これは、「自動車は動くことも走ることもあるよ」と説明する言い方です。この表現は、自動車をあたかも生き物のように主語にした言い方です。人を主語にして、自動車を動かす(drive)言い方を考えてみましょう。そうすると、「I drive a car」は、今運転していることを言うのではなく、運転することがある習慣の意味です。(表10.1参照)。動作の始まり(begin)は、時間的には瞬間的であって、継続の意義はありません。終了(stop)は、動作の終りを言いますが、停止状態の継続を言う使い方「be stopping」もあります。人が主語であって、自動車を目的語にした英文では、過去分詞を、「a stopped car」のように状態説明に使うことがあります。寝台車the sleeping carとするのは、特殊な事例であるとの説明があります。

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